【越後上布/八寸名古屋帯】
―白黒変わり無地織―
いざり機
着用時季・※真冬を除く通年
小河正義/重要無形文化財越後上布技術保存会員
制作　原久史


こうして呉服商を生業としている私共にとっても越後上布は特別な織物です。　文化財や伝統工芸による工藝着物や帯に関心を寄せられる方にとって越後上布は夏の着物や帯の最高峰と言う認識なんだと思います。　広くあまねく知られるその文字、語感、、、わざわざこのページに越後上布のなんたるかを記すまでもなく「越後上布」と検索すれば、玉石混交様々な情報をご覧頂けますので越後上布の括りはそちらに任せたいと思います。　さておき、こちらの帯…　地色とされたのは一言で表すならばグレー系、人の作為を想わせないシンプルな美しさ、ツイードを想わせてくれます。　

こちらの越後上布は原久史さんによって制作された越後上布です。　この越後上布を眺めていると亡き小河正義さんの想い以上の何か…　きっと小河正義さん自身も気付いていない想いまでもが麻布に織り込まれたかのような印象を受けます。　小河さんの想いをも超えて織り上げられた原久史さんの創造以上の何か…。　小河正義さんがこれまでに織り上げた越後上布一点一点にかけた想いが、意図せず織物の上で交差しているように思えてならない。　単なる私の思い過ごしかもしれません。　原さんの意識の中にそんな事はないのかもしれません。　でも、私の目にはそのように見えるのです。


この手績み手織りの麻織物である越後上布を眺めているとまさに越後の上布、その名称の由来となった越後の麻織物固有の美しさ、雪国越後特有の亜麻色を含んだ質感は、かつて小河正義さんが麻と向き合った数々が、原久史さんの清廉な想いと交差したとしか思えないほどの美しさなのです。　それは決して言い過ぎではなく、いや、それ以上の素朴な美しさをこの越後上布から感じるのです。　美しさを原久史さんご本人に尋ねれば、「私にもわからない」とおっしゃるでしょう。　でも、他者である私にはその美しさがはっきりと目に映るのです。

小千谷縮に適わせても結城縮に適わせても、夏大島や塩沢上布に適わせても美しいのです。　シンプルでありながら彫が深い。　そんなところにまで味が在る。　ちなみにこちらのお品は目が比較的詰んでおりますので真冬の厳冬期以外お使頂けます。　コーデは有松絞りにの他に絣足が美しい伊那紬（※弊店別）に適わせてみました。　このコーデ…とてもとても好みなのです。