【ジャワ更紗九寸名古屋帯】
―奏（かなでる）―
制作/ジャワ更紗 Reisia
紬地適時季（９月～６月）
※盛夏を除く通年

感性と英知を委ね創意を尽くす。幾層にも積み重ねられた堆積、それは確かな経験値となる。　個性を籠めながらも伝統文化を継承する…　あくまでも「退屈な平凡」とは交ざることはない…　創造（創作）において、思考的なことと非思考的なことは常に共存し、どれほど思考的なことを蓄積したとしても、必ずそれを越える非思考的なことが存在します。　思考や経験で創造する事ができる領域が増大していったとしても、必ず不可視の領域は、その「一歩先」に存在し続けるのです。　その境界面における「思考」と「非思考」との融合、　「感性」と「英知」の結合のプロセスの中にこそ、「美」は起源するのではないでしょうか。　創作において様々な失敗のほんの僅か、ほんのすこし側（そば）に、美しさは存在するのかもしれません。　哲学のように思えるかもしれないことを書きました。

こちらの帯ですが、現地で自生する蚕/野蚕の糸から手織りで織り上げた風趣零れる生地が使われています。　決して大胆な構図の更紗ではないけれどインドネシア/ジャワ特有の彩色を想わせます。　山吹色の地色の中に極細密に伝統的な更紗文様が染められています。　起を遡ればペルシャ/南アジア諸国/ヨーロッパからもたらされた「更紗」という文様、日本においても着物/帯だけに留まらず、装飾品や調度品などに数多く使われています。　とりわけ強い個性を保った「更紗」を　この帯は極めて細やかに表現する事に依って、個性的な彩色印象の中に「柔らかさ」を表現しています。　またバティック更紗によく見られる民族的民芸色をそのまま用いるのではなく、日本に風土に適う「更紗」を表現しています。　ジャワ更紗と言う伝統的な古典更紗文様を「和」の色彩で再構築する事に依ってこうした「美しさ」を現出させたのだと思います。　

インドネシアの手織の絹布に古来より伝わる技法にて描かれたものとなります。 日本の染織とは異なり生地に織斑や擦れ、染料の滲みなどが見受けられりこともありますが、一つ一つの作品の持つ味わいとしてご承知いただきました上でご購入いただけますようお願いいたします。　

※結城紬、郡上紬、三才山紬、伊那紬など紬織物全般、江戸小紋などにお使いいただけます。