初霜や
日月といふ
かすれやう
春川暖慕
銀化
■手描き京友禅/羽織-長羽織
更紗模様
今日、日本の文化の中心地(集積地)と言えば、間違いなく首都東京であることに異論を差し挟む余地は少ないと思います。 とりわけ服飾(洋装)に関して言えばそのすべては東京から発信されると言っても過言ではないと思います。(ジーンズなんかは岡山とかも多いですが、一括りに申し上げて、と言うお話です。) 一方で日本の文化/和の文化、つまり着物/染織の文化の視点で捉えてみたときはどうなのでしょうか。 たとえば沖縄には琉球固有の染織が在り、東京にも江戸友禅(東京友禅)や江戸刺繍が在ります。 金沢へ目を移せば加賀友禅が在り、加賀刺繍も在ります。 それだけではもちろんなく、名古屋には名古屋友禅が在り、有松鳴海絞りが在ります。 しかし、その規模や種類、歴史など様々を考えると京都が抜きんでていると言うことに異論を差し挟む余地はないのかも知れません。 着物に関する文化を広義に捉えた場合、その中心地は現在でもやはり京都をおいて他にないように思います。 洛中、洛外などと言うお話をするものではありません。 革新という側面を持たない伝統が良いとも思いません。 唯、染織における京都の凄さはやはり認めないわけにはいかないのではないでしょうか。
友禅を選ぶ際、一番重要視しているのは染めの質感です。 友禅の色彩や構図には、古くから連綿と受け継がれ、定番化した図案や色目、模様があります。 ただ「着物地(※いわゆる友禅)を見る」と言う事に「目」が慣れていないとそれらは「よく見る柄」や「よくある色目」で通り過ぎてしまいます。 しかしながら、質感の高い友禅はたとえそれが、一見「ごく何気ない図案や色彩」であったとしても、あきらかに「どこかに他と違う情緒、雰囲気」を漂わせています。 もちろん地色もそう。 質感の高い友禅の地色はたとえそれが淡い単彩であったとしてもそこに薄っぺらな印象は一切なく、何層にも幾重にも色を引き重ねて初めて出来る「重みのある淡さ」「質感のある淡彩」が在るのです。 友禅に力量がなければ、それはただ単に「色」というものでしかありません。 友禅の職人が自ら美しいと感じ、創作した色彩にだけ時を経て見ても「色褪せない魅力」が存在するのです。
さてこちら、、。 この友禅のために特別に選りすぐられた生地に見事な手描き友禅が施されています。 まず真っ先に眼に飛び込んで来るのはこの見事なまでの地色です。 言葉ではどう表現したら良いのでしょうか、単なる灰色ではありません。 灰色にほんのわずかに、仄かな藤色味を加えるとこうした色になるのでしょうか。 どこか品位を感じさせる発色です。 その品位を湛えた地色に描き上げられた手描き友禅。 「完璧」などという安直な言葉はこの友禅には似合いません。 でも、どこから見ていてもすべてにおいて美しい仕事が施されているのです。 これ以上はないと言うといかにも言い過ぎかもしれません。 でもそう言ってしまいたくなるほど美しい友禅です。 まったく羽織としての解説にはなっていないのかも知れません。 なにやらおかしな解説になってしまいましたが、この羽織の保っている魅力は間違いなくそんな「色彩美」なんだと思います。 そしてこの美しさを装いに取り込むことは装う人、それを選ぶ人の美意識の高さ、審美眼の高さを表現してくれるのではないでしょうか。
はんなりと美しい羽織です。 ご覧頂けますように決して絢爛豪華な印象ではありません。 特別に格調高い文様という訳でもありません。 和の品位を想わせる、そうしたものでもないのかも知れません。 むしろ異国文様のような印象を想わせもします。 友禅とは絹と言う生地に対象物が内包する美しさを写し取ること。 徹底的に写実的なものだけが美しい訳では決してないのです。 大切なことは写実的か否か、ではなく、絵筆の辿る美しさなのです。 美しいとされる友禅には職人のこれまでの仕事の”美しさ”が映し出されます。 だからこそ、見るひとを魅了し、見るひとの心までも震わせる染色/友禅となるのだと思います。 どのようなものに「あるひとつの正しい答え」はないのだとしても、この友禅を見ていると友禅としての「あるひとつの正しい答え」なのではないかと思ってしまうのです。 実に美しく見事な仕事です。 ※下段にも画像がございます。
商品番号 |
EBH-SOME-001244 |
商品名 |
手描き友禅/羽織地 |
品質 |
絹100% |
価格 |
¥289,800(表地/税込) ¥333,300(仕立上げ/羽裏/税込) ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約3週間~25日戴いております。
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巾/ 長さ |
※身長167cm位までの方/裄一尺八寸七分位まで。 |
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