【型絵染九寸名古屋帯】
―たからものⅡ―
制作/荒川眞理子
着用時季・※盛夏を除く通年



荒川眞理子さんの作品見ていると、いつもつい心が微笑んでしまいます。　ある意味、制約とは対極にある、心の赴くままに創作されたことがその意匠-designから伝わってきます。　“こうあらねばならない”、とか　“そんなことはまったくもって意に介さない、制作者が創りたいものをつくる。　要するに制作者自身が締めたい、想いが作品から伝わってきます。　　制作という行為は言わば「無」から「有」を生み出す行為です。　制作者の想像-Imaginationの中にしか存在しなかった形を持たないイメージが、ある日デッサンとなり意匠となり型紙に興されて作品となる。　文字にしてしまえば僅かこれだけですが、その間に退屈な経験が入り込み、窮屈な思考が邪魔をして、その結果、凡とした「いつもの」-「よくある」ものとなって出来上がる、そうした極めて平凡な工程が少なくない染色の中で、こうした何も制約を受けない、言わばプロトタイプとでも言うような作品が染め上がることは多くはないのです。　

こちら--- ボルドー（葡萄酒色）の地色を背景にティーポット？や絵皿のようなものが描かれているようです。　たからものⅡという銘から想像するに磁器、陶磁器など、大切にしているものを描いたのかもしれません。　それは制作者の心の情景を表しているようでもあり、時折開く絵本の中にあるのかもしれません。　まさに荒川眞理子さんのたからものなんだと思います。　「和」を強く思わせる「たからもの」に対し、どこか異国情緒を感じさせる「たからものⅡ」　なぜか物憂げな印象を想わせるのは深みのボルドー落ち着いた配色がそう想わせるのかもしれません。　作品は都会的で垢抜けた印象を感じます。　こちらの帯は大島、結城紬、郡上紬、飯田紬、みさやま紬、下井紬などの紬織物や綿さつまなどの木綿織物に適わせて頂きますととても素敵ではないでしょうか。　こうした帯に関心をお持ちになる方は紬好きの方が多いのかもしれませんが、江戸小紋や色無地などにもお使いいただけます。　　

※こちらはきもの水流の別注品で現品限りです。　
素材はしなやかな中にまったりとしたやわらかさと適度な地厚を感じる紬です。　染め帯に在りがちな頼りなさはなく、柔らか過ぎず、張り過ぎず、その締め心地は紬好みの方の期待を裏切るものではないことはもちろん、着物初心者と言われる方にもお使い頂きやすい質感です。