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【下井紬薄絹織】 制作/下井伸彦
―亜麻色格子―
着用時季・単衣~盛夏
交わるひとつひとつ、一本一本の絹糸の色に洗練された表情を感じます。 色のどれひとつをとっても実に美しい。 格子のバランスも絶妙な美しさの要因となっています。 端的に言えばこの淡い格子が確実に美しい格子であると言うこと、つまり、線と線 色彩と色彩 完璧とも言える調和を見せるそのバランスが美しいのです。 しかしこの格子にはそうしたことを超える美しさが在るように感じます。 文字に表すのはとても難しいのですが、あえて喩えれば整然とした単調さの中に創られた造形美。 時折、気まぐれに桑の実色を差し込んだり、勿忘草色を吹き入れたりしたかのような、そんな織の表情が見えるのです。とりわけ印象的なのは手織り紬織物固有生命感。 当たり前ですが、布自体が言葉を持たない分、愁いに満ちたような存在感が私の気持ちを射抜くのです。
記憶を辿ると、子どもの頃から布が好きだった。 母親からあてがわれたものの中に淡いベージュ地、淡いブルーとブラックチェリーの二色が格子状に織り出されたジャケットがあった。 それがもう嫌で嫌で、…(とても洒落てて他の子と一目で違うのが分かり恥ずかしかったことと、どこか中性的で、いやむしろ女の子色に見えたから、というのがその理由)質感までも鮮明に憶えてる。 十分に大人になった今写真を見ると、一つの意匠/designとして極めて素敵なものだった、と思う。 …という私の記憶などどうでもよいのだけれど、この生地を目にした途端一つづつ灯りがともるように記憶が蘇ってきたのです。
一瞥しただけではそれとは気づかない。 でも目を近づけてみると、そのままその“布の質感”にいつの間にか惹き込まれてしまう。 淡く淡い亜麻色/あまいろの地にランダムに織りこまれた淡い淡い桑の実色(くわのみいろ)と勿忘草色(わすれなぐさいろ)のストライプ。 背景には薄日影のような小格子…。
一瞥しただけではわからない…、これみよがしのモノは作らない、下井伸彦さんのお人柄そのもののような格子織物です。 昔からそうなのですが、個性そのものが前面に押し出るようなもの、つまり色や柄、質感が悪目立ちするようなものは作らない。 創り上げるものは、一見何気ないようにみえ、でもそれでいて近寄ると個性が上品に(上質に)際立つ。 一度目を留めるとそのまま惹き込まれてしまう、、、そんな織物なのです。
言うまでもなく、下井紬固有の質感はそのままです、さらりとしながらもとろりと落ちるあの感覚、、。 糸をつくり、自生する草木から抽出する染料で糸を染め上げて織る。 一から十まで、つまり何から何まで下井さんが手掛けた一点ものの作品です。
※お愉しみいただける季節は…、と言えば6月~8月と言うことになろうかと思いますが、最近ではもう少し早め、5月中旬~10月下旬までお愉しみいただいているようです。 参考に型染の九寸名古屋帯/青小花文様とコーディネートしてみました。
商品番号 |
OOE-ODY-03222 |
商品名 |
下井紬薄絹織 |
品質 |
絹100% |
価格 |
¥236,000 (表地のみ仕立て無し/税込) ¥278,500 (単衣仕立て上げ居敷当付き/税込) ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約2週間~20日戴いております。 |
巾/ 長さ |
1尺弱(※37.5cm程)・長さ/3丈3尺程(※12m50程) |
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