きもの専門店
そう謳うのは覚悟と精通が問われます
着物に関わり四十年と少し…
まだまだ学ぶことばかり…
きもの、って知れば知るほど知らないことばかりです

その多様さゆえに定義付けることの難しい更紗
古渡にはじまりペルシャ、フランス、イギリス、…
  バティックとして知られるジャワ更紗もありますが、日本の職人の手による和更紗の美は
やはり格別です
―唐草小花文―

暈したり、一層の斑も許さなかったり
澱みの様に堆積した手わざが意図して刷毛を捌く…
かのフィンセント・ウィレム・ファン・ゴッホさえ憬れた
日本の職人の筆捌き

染織作家の手から放たれた作品は
一つの花、一つの蝶、一つの鳥、に
生命が吹き込まれているのです 
添田敏子 ―白ぶどう―

もしかしたら
この小さなキモノ店は
アナタをドキドキさせることが
出来るかも知れません
どうぞ遊びにいらしてください 



受付に

人居ず秋の

薔薇壺に


田中藤穂

あを


紬織物



【草木染手織り真綿紬】
―経緯やたら織―
植物染料/藍・苅安・くちなし
制作/小熊素子


染織作家による手仕事は常に一定の状態、同じ規則性を保ち続けられるか、という点において機械織りに及ぶものではありません。 経糸が交互上下し、緯糸がリズミカルに且つ正確に飛び交い時間の経過と比例して確実に織り進んでゆく、そうした単純な法則では染織家の手仕事のあり方を表すことは出来ません。 規則的ではないからこそ、或いは曖昧ゆえに染織家は苦悩するのではありません。 ややもすれば曖昧に見えもする手仕事を織り味にすべく、染織家としての生涯を終えるまで内向苦悩し続けているのです。染織家の手仕事は言わば想像と創造の永久的な交差なのかもしれません。


果たして染織家の創作とはどのように呼び起こされるのものなのか。 そも染織家は自由な意志を持つのか。 それとも創造する者としての類稀なる遺伝子に操られているのか。 染織家の最終的な目的はどこにあるのか。 染織家の知性の源泉はどこに湧きいずるのか。 考えれば考えるほどに不思議な事ばかり。 所詮はつまるところ染織家の利益を計るたくらみに過ぎないのか?。 それとも心のおもむくまま、気(質)によるものなのか。 私にわかるものではありません。


制作(創作)とは所詮、コストを計り計算づくで推し進められていくものだと定義することが出来ます。 しかし、ここが面白いところ(興味深い)なのですが、染織家による創作においてコストは一番最後に来るのです。 もっと言えば染織家の”仕事の痕跡”イコールそれがコストそのものだと言えるのかもしれません。 制作の途中に挟まる日常の煩わしさは誰しも避けることは出来ず、作品の出来栄えは千々に乱れ、また、時に跳躍することもある。 日常から浮遊したかのような、何にも惑わされない非日常的な時間と日常との温度差。 平凡にも非凡にも、そのどちらにも属する事はない時間もある意味コストなのです。 なんだか禅問答のようですね(笑)


紬織物 紬織物 紬織物 紬織物 紬織物

さてこちら、染織家/小熊素子さんの手による草木染手織り紬織物です。 植物染料を使い染め上げた真綿糸を経糸にも緯糸にも惜しみなく使い織り上げられた紬織物。 自由な意思が織り上げたのか、類稀なる遺伝子によるものなのか、それも私には判りません。 この紬織物を眺めていると類稀なる遺伝子が自由な意思を操り織り上げたとしか思えない魅力を感じます。 類稀なる遺伝子とはつまり「感」です。 音感、リズム感と同様、指先感とでも言えば良いのでしょうか。 優れた音楽家に絶対的な音感が在るように優れた染織家には絶対的な触感が在るのだと思います。 草木を見て瞬く間に色を創り、糸に触れ織り感を創る、機に坐り緯糸の杼を投げる度にリズムを刻み、機音を奏でる。 画像で見るだけでは藍色みを帯びた深いグリーンの色調の紬織物にしか過ぎないかもしれません。 でも、オーケストラが奏でる一つの音が実際は様々な楽器混成によるもののように、幾つもの諧調の糸が極めて複雑に積層することによってこの織物は組成されているのです。


手に取ればすぐにわかりますが、こちらの紬織物は極めてやわらかな質感/触感を保ちます。 唯、やわらかではありますが、それは頼りないやわらかさではありません。 上手く表現できずに申し訳ないのですが、言わばやわらかな中にしっとりとした厚みを感じるかのようなやわらかさです。 こうした触感を保つ紬織物は確実に極上の着心地を想わせてくれます。 また実際に着物にお仕立てをしてお召頂きますと、私のその言葉になるほど、頷いて頂けます。 藍色みを帯びた深いグリーンの色調と記しましたが、決して単純な色味ではないのです。 染織家の想いを幾層にも幾層にも積み重ねて初めて現出するような彩の重なりです。 空に瞬く星の煌めきがすべて異なるように。


他でも書きましたが、小熊素子さんの作品の根底を流れるものは郡上紬です。 それゆえでしょう。 こちらの作品を目にした時に思い浮かんだのは郡上紬、宗廣氏に師事された小熊素子さんの作品は確実に郡上紬を想わせます。 意図してそうされているのか、或いは映すかの如く織れてしまうのか、私には分かりません。 一つ異なるのは郡上紬よりもさらに上質な真綿糸を使い織られていること。 こちらの作品をご覧頂いて、どこか郡上紬のよう…、そうお感じになられた方、目利きです。 着物に限らず、何事につけ、本物は素気ないもの、確かにそれは間違いではないと思います。 つまり本質以外の何かで見るひとの目を逸らす必要はないのです。 こちらの紬織物は一見した一瞬は素気ないものかも知れません。 でも、それもほんの僅か、一瞬のことに過ぎません。 すぐにどこにでもあるものでないものとわかるのです。 長々と書いてきましたが、つまり、こうした紬織物を選ぶひとを目利きと言うのです。 見事な織物だと思います。
※こちらの作品はやや藍を感じる深い緑です。 とはいえ、藍も緑も様々な濃淡の糸で織り重ねられていますので、一言で何色、と表現出来ない素敵なお色目となっております。


紬織物

紬織物 紬織物

【商品情報】

商品番号
OTI-STS-7209
商品名
草木染手織り真綿紬 小熊素子作品
品質
絹100%
価格
¥645,000(表地のみ仕立て無し/税込)
¥687,000(単衣仕立/居敷当付き/税込)
¥699,000(袷仕立上げ/胴裏・八掛/税込)
※一級和裁士による手縫い。
※お仕立てに要する日数はご注文確定後
約3週間~25日戴いております。
【※単衣仕立てをご希望の際はお尋ねください。】
巾/ 長さ
39cm程(※約一尺三分)/※12.5m程 (※約三丈三尺程)

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紬織物紬紬絹雲紬

草木染手織真綿紬/経緯やたら織り  小熊素子

価格: ¥645,000 (税込) ¥699,000 (税込)
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