緑立つ
画室茶室と
散在し
堀田恵美子
雨月
【小倉織九寸名古屋帯】
草木染/手織 小倉織/小倉縞帯 ―翠和―
制作/築城則子
“美、と言う表現さえ突き抜けた美しさ” “美しさを極めた木綿布” “ 手織の縞と言う単純な表現では事足りない、そう思わせる美しい布、小倉縞帯。 築城則子さんの手掛ける小倉縞を評する際によく言われる「目が詰まっている」、という表現がある。 それはつまり、簡単に言ってしまえばみっしり並べられたたていと(経糸)に加え、ぬきいと(緯糸)の打ち込みが極めて強いという事に他ならない。 経糸を極々密に用いたことで、丈夫さと滑らかさを兼ね備えた木綿の「小倉織」は、かつて武士の袴や羽織に珍重されたことからもわかる。 昭和初期に途絶えてしまった小倉織、現存していた古い縞帳の少しの古裂を元に織り組織を掬い出し、糸作りから始まり、数多の試行錯誤を経て復元された築城則子さんの小倉織は、制作者の魂とも言うべき新たなエッセンスを溶かし込み、現代に生きる織物として現出させたように感じます。 築城則子さんは小倉織発祥の地である福岡県北九州市に生まれ、現在はその山間部に工房を構えこの美しい織物を織り出しています。
小倉織の特徴は極細の木綿糸にある。 経に通常の三倍近いおよそ2400本前後の糸を入れている。 帯の巾は九寸、他の名古屋帯と基本同じです。 三倍近い糸を使うという事はおよそ三分の一というしなやかで細い、加えて堅牢な糸が必要とされる。 それゆえに織りで美しいグラデーションを表現することが可能となる。 築城則子さんが機を織る際、踏み込む度に地響きのような音がすると云う。 これ以上ないくらいに密に整えられた経糸が擦れ合う絹鳴り。 足を踏み込む調子が狂えば、糸は悲鳴を上げて軋み、機はいう事をきいてくれない。 まるで地響きのようなその音は、築城則子さんの呼吸と機の呼吸が、同調した時のみに生じるものなのだという。 仕事場そのものを揺らすかのような地響きは、築城則子さんが小倉織に生命を織り込んでゆく、そのまさに一つ一つを刻む音なのかもしれません。
目に映るのは、白橡/しろつるばみ、深い千歳緑/ちとせみどりの眼で追えないほどのグラデーション、黄色みを帯びた香色/こういろ、褐返/かちかえし、枯色/かれいろ 、象牙色/ぞうげいろ、練色/ねりいろ、などの無数のグラデーション。 縞というものは言わば至ってシンプルなものと言う事も出来ますが、築城則子さんの作品を見ているとシンプルと言う表現とは異なるものを感じます。 たとえば道すがらの芙蓉の葉を見つめたとき、この葉の持つ繊細さを創ったものの凄さを思う。 築城さんの作品を見ても同じことを思うのです。 シンプルの極みとも言われる「縞」を追求し、そして「縞」の無限なることを知って「縞」の凄みをあらためて知る。 そしてその「縞の凄み」を更に突きつめる度に「縞」の織手、「小倉織」の名手と言う名の足枷を自らに嵌める。 趣味趣向品ですから、こんな効率とは無縁の追及もそれはそれでまた一興ではないでしょうか。
築城則子[ついきのりこ]
1952年北九州市生まれ。染織家。日本工芸会正会員。「遊生(ゆう)染織工房」主宰。2008年、日本伝統工芸染織展文化庁長官賞。製法の途絶えていた小倉織を復元し、草木染め、手織りの小倉織を制作している。「縞縞 SHIMA-SHIMA」では、糸の選定とテキスタイルデザインの監修をつとめる。
1952年 福岡県北九州市に生まれる
1974年 早稲田大学文学部中退、染織の道に入る
1984年 小倉織復元
1996年 北村武資氏による「羅」の伝承者養成研修会に参加
1999・2003年 和光ホールにて個展
2004年 「非情のオブジェ-現代工芸の11人-」に出品(東京国立近代美術館工芸館)
2005年 伝統文化ポーラ賞 優秀賞受賞
2007年 文化庁芸術家海外派遣制度の特別派遣としてロンドンにて研修
2008年 日本伝統工芸染織展 文化庁長官賞受賞
2010年 西部伝統工芸展 朝日新聞社大賞受賞
日本伝統工芸展 日本工芸会奨励賞受賞
2012年 文化庁主催海外展「日本のわざと美:近現代工芸の精華」に出品(フィレンツェ)
現在 日本工芸会正会員、遊生染織工房主宰
商品番号 |
OTK-NAOR-18 |
商品名 |
草木染手織九寸名古屋帯/築城則子 小倉織小倉縞 翠和 |
品質 |
綿100% |
価格 |
¥816,000 (帯地のみ仕立て無し/税込) ¥827,500 (芯仕立て上げ税込) ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約2週間~20日戴いております。 |
巾/ 長さ |
※お仕立て上がりの際のサイズは帯巾・八寸~八寸一分程。/ 長さは九尺八寸程。多少の変更は出来ますのでお尋ねくださいませ。 |
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