白木槿
満開バロツク
美術展
森田節子
風土
【西陣織九寸名古屋帯】
―時代裂― 勝山さと子
勿忘草色 (わすれなぐさいろ)と淡菖蒲色 (あわあやめいろ )で小花が織り出されただけの意匠なんですが、単純な印象はありません。 行儀よく並ぶ文様は江戸小紋の割付文様のようにも見えます。 時代裂とは広義で言えば歴史の古い裂地の総称、本品は伝統的とか純粋な日本的な印象も伝わってきますが、配色の妙なのでしょう、古代裂を写した(範とした)印象ではなく、むしろモダンで垢抜けた印象です。 ご覧のように見るひとの目に強く訴えかける色彩印象の強い帯ではありません。 絢爛豪華な印象でもありません。 光沢を抑えた白汚しの静けさ、その中に整然と並ぶ文様の美しさが印象的な作品です。 まさに和の文様の美しさが織り込められた織物と言えるのではないでしょうか。 馥郁たる「趣」と「品」が感じられる、そんな一品です。
西陣織特有の「よそゆき感」をしっかりと保ちながら、西陣織に有りがちな「教則的」な感覚とは確実に一線を画しています。 現代の西陣織は過去の西陣織を鑑みることが出来るという点において過去の染織を模した制作を選択することも出来ます。 過去の染織を真似る訳です。 ただそこに新たな創造はありません。 伝統を範とした踏襲は大切ですが、常に過去の染織を超える、と言う職人の矜持失くして西陣の進化はありません。 現代、アンテーィクと呼ばれる染織も過去の染織を鑑み、超えているのです。 超えているからこそ現代アンティークと賞されているのです。(超えていなければ単なる古物なのです。) つまり…、現代の西陣の職人の創造が形としてのイメージとなり、「つくる」と言うプロセスを経て範を超え、新たな西陣織の作品となり完成するのです。 そしてその創造こそが、観るひとを魅了し、心に響くある何かを与えてくれるのだと思います。
本作品は洒落感は第二義とされがちな礼装や略礼装の装いにおいてさえ、装いを愉しむ豊かさをもたらしてくれます。 こうした染織は西陣織の無限なる叡智を想わせます。 更に言えば染織家の芸術に対する想いや創造は止まるところを知らないかのようにもみえます。 織物にしても、染物にしても、創り上げられた作品には染織家の魂が宿るかのようでもあります。 最後にあとひとつだけ付け加えさせて頂くならば…。 この織物の最大の魅力の一つは魅力的な文様に加え、間違いなく、時代裂と銘されたこの西陣織の織り感/質感、そして美しい意匠であろうかと思います。 いわゆる量販品の西陣織では見ることのない織味です。 小紋や色無地、江戸小紋に附下、あるいは無地感覚の紬織物、などいろいろにお愉しみ頂けます。
商品番号 |
TKT-MKM-117 |
商品名 |
西陣織九寸名古屋帯/勝山さと子 |
品質 |
絹100%※金銀糸を除く |
価格 |
¥198,000(帯地のみ仕立て無し/税込) ¥209,500(芯仕立上/税込) ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約2週間~20日戴いております。
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巾/ 長さ |
八寸~八寸一分程/ 九尺七寸~程※お仕立て上がりの際のサイズ |
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