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岩月優美子
槐
【手織り九寸名古屋帯】 ―段熨斗目絣―
生絹(すずし)
制作/山下健 着用時季・夏/単衣
山下 健(たけし)
1955年/鳥取市青谷町に生まれる
1973年/柳工房にて、3年間、織物を学ぶ機会を得る
(※柳宗悦の甥にあたる柳悦孝の工房(4ヶ月)、柳悦博の工房(3年))
1976年/国展出品、50周年記念賞受賞
1977年/独立
1995年/国展・会友推挙
1999年/国展・会友優作賞受賞
2001年/国展・会員推挙
現在/国画会会員
深みを湛えた墨色が必要以上に主張し過ぎることなく且つ十分以上に色を放ちます。
温度を感じない鉛色と白汚しの熨斗目、絣織の名古屋帯です。 冷気を含んだお色目はご覧頂けますように上品な明度で織り分けられ、適わせる着物によって様々な表情を見せてくれます。 作品には極めて美しい絣足があり、それが菱形の駒絣とともにエレガントな印象だけでないシックで垢抜けた、都会的な印象を放ちます。 色相が微妙に変化するため、実際に締めて頂きますと、ほんの微かに青みを感じる墨色と白汚しが知的な印象、大人の女性の気品を感じさせてくれます。 何気なく眺めていると、特に何の細工も掛けられていないように見える絣織物です。 でもよく見掛ける絣の夏帯とはやはりどこか異なる印象を受けます。
織物とは…、 極めて単純な言い方をしてしまえば、経糸と緯糸を交差させてつくられたもの…、 に違いないのですが、織り手となる「ひと」によってそれは様々な表情を見せてくれます。 時にそれは意図したものであったり、織り手の意図しない、予期せぬものであったりもするのです。 同じ糸、同じ染色、同じ機で織ったとしてもそこには明らかな違いが生じるのです。 そしてひとはそれらを「味」と称する訳です。 この紬織物をとりわけ魅力的なものとしている理由の一つはなんといってもこの「味」ではないでしょうか。 薄墨色のような墨色が、絹布全体に深みを感じさせてくれるのです。 墨色は身も蓋もない言い方をしてしまえばグレイ色、なのですが、そう言ってしまっては申し訳ないほどの色の質感を感じさせてくれます。 更に言えば墨色と言う表現も適当ではないのかもしれません。 何故なら、見る時間、角度、陽光の下、室内の光によってどの部分を見てもそのように見え、またすぐにそれは印象を変えてしまうから…。
こちら、 文字や言葉で表現をしてしまえば単なる段熨斗目の絣織物です。 しかし、単なる絣織物としてはとても味わいが在ると思いませんか。 静謐な墨色、微かに温かみを感じる白汚し、絣足で繋がれた規則的な繰り返しがそう想わせるのでしょう。 それが見る角度によって、冷たさと温もりの連鎖のように見えたりもするのです。 実はそれも制作者の織の個性なのです。 そして白汚しから感じる、温もり?のようなもの、なぜそう感じるのか私には分かりませんが、制作者である山下健氏の「手間暇」「想い」「息吹」がそう想わせているのかも知れません。
いわゆるオトナの女性の帯だと思います。 越後上布や宮古上布、能登上布や小千谷縮に締めてお召しになられますと本当に美しいと思います。 もちろんですが絽縮緬の小紋や色無地にもお使い頂けます。 装うひとの美意識の高さ、趣向の豊かさ、上質なお洒落、をさり気なくアピール出来る、そんな絣織物なのです。 画像では亀甲の美しい越後上布にこちらの帯を適わせてみました。 こんな取り合わせも素敵ではないでしょうか。
商品番号 |
OKT-OJK-4 |
商品名 |
生絹(すずし)熨斗目段絣/九寸名古屋帯 |
品質 |
絹100% |
価格 |
¥462,000(表地/税込) ¥473,500(芯仕立て/税込) ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約3週間~25日戴いております。 |
巾/ 長さ |
お仕立て上がりの際のサイズは帯巾・八寸~八寸二分程。/ 長さは九尺八寸程。多少の変更は出来ますのでお尋ねくださいませ。 |
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