黄蝶遅刻
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和田絢子
春燈
【手織り紬織物上田紬/縮み】
制作/小岩井紬工房
黄色に白細縞
何気なく見ただけではきれいな黄色の無地の紬にしか見えない。 その、“きれいな黄色の無地の紬にしか見えない”、というところがこの紬の真価本領ではなのかも知れません。 見る時間によってそのきれいな黄色は蒲公英の花を想わせる黄色だったり、微かに緑みを帯びた黄色(あくまでも黄色、決して黄緑ではないのです。)に見えたりもするのです。 そしてそのどちらも極めて魅力的な色なのです。 陽光の差し込む時間は黄色が勝っているのだけれど、陽はあるものの地面の大部分が影に隠れるころ、何故か心なしか緑色を帯びて見えるのです。 もちろんあくまでもほんの僅かに…という程度のお話です。
目を近付けてみるとこの織物が単なる無地ではないことが判ります。 目を凝らすと見えてくるのは二つの表情…。 その一つ…、それはこの織物が無地ではなく細い縞の織物であるということ。 しかも憎い事はそれが染であしらわれた訳ではなく、織りで表現されていることです。 あえて手間暇の掛かる織りを織物商は発注したのです。 染めに頼ることなく織り上げる、気の遠くなるような地道な手仕事を繰り返すことによって織り上げてゆく、いかにも実直で辛抱強い信州人(びと)の織る織物だと思います。 更に目を近付けてみると単なる紬織物でもないことが判るのです。 こちら、上田紬にて制作される中の1%にも満たない上田紬“縮み織り”なのです。
つまり、、、 緯糸に右撚りの強撚糸、左寄りの強撚糸、紬糸を一本づつ交互に杼を投げ入れることによって表面に細やかなシボをつくり出しているのです。 通常の紬織物と比して一手間も二手間も… いえ、それ以上の手間暇が掛かるのです。 糸を寄ることも手間ならば、経糸が掛けられた後に杼を通すその仕事も手間なのです。 でも、、その手間暇を掛けなければ、この“しっとりとしたサラリ感”とも“さらっとしたシットリ感”とも云われる極上の風合いを生み出すことは叶わないのです。
こうした、一見何気ない紬織物に趣の滲む染帯を適わせる、現代の着物愛好家の女性の多くはその取り合わせの魅力に随分長いこと憑りつかれているのかもしれません。 着物を知れば知るほどその魅力に浸される。。。 それはある意味無理からぬことでもあります。 とりわけ真綿系の紬織物の良さを体感しておられる方ならば尚のことでもあります。 こちらにご紹介の上田紬/縮み織は当然ながらその着心地はあえて申し上げるまでもなく極上、、、上質、絶対的な品質の良さ、もっと言えば「無地感覚の紬織物」として完成されていてこれ以上加えるものもなければ、除くものもないのです。 とは言え、なにか特別な凄みを発している訳ではない、むしろその表情は端正なものなのです。 決して大袈裟は好まない、そうした点も控えめな印象を好む愛好家に支持されている理由の一つかもしれません。
花柄の小紋や可愛らしいモチーフのやわらかものだけが着物としての色気が薫る(魅力的な)訳ではありません。 こうした一見何気ない紬こそ、究極の用の美、つまり、着る物として極めて美しく魅力的と言えるのかもしれません。 加えて申し上げますと、縮み織ですので単衣~夏~単衣にお召し頂けるのですが、そのやわらかな風合いから裏地をつけて袷にお仕立てされても素敵かと思います。 お好みで、、。
商品番号 |
OTK-SUT-477 |
商品名 |
手織り紬織物/上田紬/縮み 小岩井紬工房 黄色に白細縞 |
品質 |
絹100% |
価格 |
¥222,000(表地/税込) ¥262,500(単衣仕立・居敷当て付き/税込) ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約3週間~25日戴いております。 【※居敷当ご不要の際はお尋ねください。】【※袷仕立てをご希望の方はお申し出ください。】 |
巾/ 長さ |
37.8cm程(※約一尺程)/※12.2m程 (※およそ三丈二尺一寸) |
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