廻廊の
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紅椿
門伝史会
風土
【石下結城紬】
細網代格子
こちらは重要無形文化財指定の本場結城紬ではありません。当然ながら地機でもありません。 本場結城紬/重要無形文化財について少し誤解をされている方も居られますので少しだけ解説をさせて頂きます。 まず、日本国文化財は「有形文化財」や「無形文化財」、そのほかに「民俗文化財」や「無形文化遺産」「世界遺産」など十数種類に分類されます。有形文化財は、建造物に対してのものであり、有名なところでは東大の大講堂(※安田講堂)や愛知県庁本庁舎・名古屋市役所本庁舎・また、京都の俵屋旅館や京都四条の南座などがそれにあたります。(※これらはごく一部でありその他にも多数の指定がなされています。)つまり、「歴史的景観に寄与し、造形の模範となり、再現が容易ではないもの」を文部科学省/文化庁が指定する訳です。
対して「無形文化財」とは演劇・音楽・工芸などの無形の文化的所産で歴史上/または芸術上価値の高いものに指定が行われます。その中で特に重要と定められたものを「重要無形文化財」として認定し、その保持者が個人の場合、重要無形文化財の各個認定の保持者、いわゆるところの人間国宝となります。 また団体の場合はそれを「保持団体」と称します。つまり、結城紬が「重要無形文化財」として指定されているものは、個々の地機の織物、結城紬のその1点々になされている訳ではなく、重要無形文化財として指定された工程を「重要無形文化財」としている訳です。そしてその工程を保って織られたものが地機(※居座機)の本場結城紬とされるのです。もちろんですが「結城紬」はそうした地機で織られたものだけを指すものではありません。 結城紬には地機・高機・縮みなどの手織りが有り、また、それらの手機以外にも半動力織機にて織られるものも存在します。 また産地も茨城県から栃木県に跨る広い範囲で織られているのです。 既にご存知のように狭義では本場結城紬とはされない石下結城紬も広義では間違いなく結城紬であるのです。
長々とご説明させて頂きましたのは、近年、流通において「重要無形文化財」※地機の結城紬でなければ、結城紬に非ず、と言った風潮が在ることに少なからず違和感を感じたからなのです。 また、消費者をそのようにコントロールしようとする様々な情報も決して消費者にとって正確な事実を与えるものではないように思うのです。 実際に地機にて織られた結城紬の質感はことのほか上質で、これほどの「質感」を保った紬織物となればそれは他にないように思います。 また弊店にて重要無形文化財として指定された技法を保って織り上げられた地機の本場結城紬お誂え頂きましたお客様の着心地に関する感想をお聞かせ頂いても、その通りな事に相違は有りません。 しかし、それだからと言って地機が結城紬のすべてでは決してないのです。 日常の着物として「道具」のように使いこなす事が紬織物の愉しみであるのならば、地機の重要無形文化財の結城紬でなくとも、それは叶えることが出来ます。手織りの美しさ/上質さを装いにおいて楽しみ、表現出来る楽しみはそうした事とは別にあるのだと思います
こちらの「結城紬」はいわゆる本場結城紬ではありません。 石下地方で織り上げられた「結城紬」です。 細かな網代格子にて織り上げる事により単純な無地織物とはまったく異なる印象を呈しています。 遠目には一見無地のように映りますが、その細かな網代格子固有の質感はお仕立てをされて着物となった際、可笑しな表現と思われるかもしれませんが、無地の模様?として表現されるのです。 要するにこの織物から平たい印象、薄っぺらな印象はどこにも感じられないのです。 また結城紬は「結城紬」であるが故に、たとえそれが「無地感覚」であったとしても それだけで「固有の雰囲気」を持っています。
そして結城紬のもう一つの愉しみに、誂えられた「結城紬」と言う紬織物を時間を掛けて着こなしていくという愉しみがあるかと思います。 何十年も付き合うことが出来、(※実際には大島3代、結城5代と言われるほどに百年余もの耐用を保つと言われますが、呉服商を生業として僅か40年ほどの私には5代もの耐用を保つのか否かは正直なところ判りません。) 時/ときの経過とともにお召になる方の身体に馴染んでいくとされる結城紬は、装う度に上質な紬としてのを至福を実感させてくれます。 また所有する悦びをこれほどに想わせてくれる紬も他にないのだと思います。 つまり、製品として織物となった後も、また実際に誂えられて個人の所有となった後も、その“有機のプロセス”は続いてゆくのです。また、そこに本当の意味での「紬」を着こなす愉しみが在るのかも知れません。
※単衣にお仕立てされても袷にお仕立てされてもどちらも素敵な着心地を味わって戴けると思います。 また、帯適わせの懐も深く、手描き友禅の帯、型絵染の帯、織の帯など様々な帯適わせをお愉しみ戴けるかと思います。 ※参考コーデの帯は洛風林の夾纈華文、小野順子氏の紅椿、(※共に名古屋帯)です。 洛風林の織の帯で余所行き感を思わせたり、絞り友禅の帯でカジュアルな装いとしたり、愉しみは様々です。
商品番号 |
TS-OR-44 |
商品名 |
結城紬/石下結城紬織物 細網代格子 |
品質 |
絹100% |
価格 |
¥177,500(表地/税込) ¥226,500(袷仕立上げ/税込) ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約3週間~25日戴いております。 単衣仕立てはお尋ねください。
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巾/ 長さ |
1尺以上※約38cm程以上/ 12,8m程 |
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[お仕立てをご希望のお客さまへ]
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カード決済のお手続きの際に一旦「反物」の価格にてお手続きをお願いいたします。
後ほど、弊店より「お仕立て」の有無のご確認をさせて頂きます。
ご了承頂きました後に「お仕立て代金込み」の金額に変更させて頂きます。
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